1-01.株式会社設立を決める
そもそもですが、私の場合は会社員ではありませんでした。
正確にいいますと、6年前に会社を辞めて個人事業主として独立しました。
独立して最初の半年くらいは自宅で元いた会社や知り合いの会社の仕事を外注として請けて生計を立てていました。
ちなみ、独立して5ヵ月目に東日本大震災が勃発。東京住みの私の自宅も大層揺れました。当時小学校1年生の子どもは学校で地震にあったため、親が学校まで迎えに行かなければならなかったのですが、自宅で仕事をしていた関係ですぐにお迎えに行けたのは不幸中の幸いだったと思っています。
ただ、震災直後は進んでいた仕事がとん挫したり、決して順風満帆とはいきませんでした。
それでも、なんとかかんとか周囲のおかげで仕事はあって、独立から5年目までは増収増益の右肩上がり。5年目の決算を終えた段階で、利益はともかく売上で1,000万円を突破し、法人化が見えました。
個人事業主で年間(1月1日~12月31日)の売上が1,000万円に満たない場合は、消費税の納税を免除される、いわゆる免税事業者です。
免税事業者は国に消費税を納めることを免除されていますが、顧客に消費税を請求することは禁止されていません。
つまり、顧客からら徴収した消費税分を自分の利益として確保することができます。
これは、売上の少ない零細事業者に対する救済措置の一環だと個人的には捉え、よろこんでその恩恵にあずかってきました。
しかし、めでたく売上が1,000万円を超えてしまったら、たとえ利益が少なくても、翌々年から国に消費税を納めなければなりません。
例えば1年間の税抜きの売上が925万円の場合、消費税込みだと、999万円です。免税事業者の場合は、74万円もお得という計算になります。
一方、年間の税抜きの売上が926万円になると、消費税込みで1,000万800円なので、個人事業主を続けていると翌々年から消費税を納めることになります。
仮に2年後も税込み1,000万800円の売上だった場合、国に74万800円を納めなければならないのです。
ここで少し疑問が出ると思います。
「消費税込みの売上が1,000万800円でも、税抜きなら926万円なんだから、まだ大丈夫なんじゃないか?」
という疑問です。
実は若干曖昧なのですが、免税事業者は消費税の徴収を禁止されてはいませんが、国税庁としては、「免税事業者の売上には消費税が含まれていないはず」という建前があるのです。
国税庁のHPを見てみると、次のようにありました。
課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(税抜き)です。
なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていませんから、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。
なので、事業者が顧客に消費税を請求していて売上の一部に計上していようと、していまいと、とにかく売上が1,000万円を超えたら翌々年から消費税の納税義務が生じることになります。
上記のような理由で、売上が1,000万円を超えたら法人化を考える個人事業主が多いと言います。なぜなら、消費税の納税義務が生じる前に個人事業を廃業して、新たに法人を設立すれば、また免税事業者として最低2年間(場合によっては1年半)は消費税の納付が免除されるから。
私の場合もこのケースです。
というわけで、6年目の冬に株式会社を設立することにしたのでした。